腰部脊柱管狭窄症の50代男性に対する施術経過

年齢・性別:55歳 男性

主訴:右下肢後面の痛みとしびれ、歩行困難(約100mで休憩が必要)

既往歴:高血圧

職業:デスクワーク中心の会社員

現病歴

1年前より右下肢に違和感を覚え、徐々に間欠性跛行が出現。整形外科にてMRI撮影を行い、L4/L5レベルの脊柱管狭窄を指摘される。

ブロック注射、NSAIDs、理学療法(ストレッチ中心)を継続するも症状改善なし。

初診時所見(紹介受診時)

姿勢:軽度前傾姿勢で腰部筋緊張亢進

神経所見:右SLR 60°で下腿に放散痛、腱反射正常

筋力:右足背屈4/5

画像所見:L4/L5で明らかな狭窄、椎間関節肥厚も認める

施術内容

A. 運動療法の再構築

・体幹深部筋(腹横筋・多裂筋)の再教育

・股関節の可動域改善(特に屈曲・内旋制限)

・骨盤・胸椎モビリティの強化

・有酸素運動

B. 日常動作・生活指導

・長時間座位の制限とこまめな立ち上がり

・就寝時の姿勢工夫(横向きで抱き枕使用)

経過

介入後2週間で立位時の痛み軽減を報告。1か月で歩行距離が200m以上に改善。

3か月経過時には、週末の買い物程度なら休憩なしで歩行可能に。MRI上の大きな変化はないが、ADLは著しく改善。

考察

保存療法の効果が見られない患者では、「痛みの原因=神経圧迫」という単純な構図だけでなく、

筋機能の低下・動作パターンの乱れ・慢性痛の心理的影響などを考慮する必要がある。

本症例では、これらに対する包括的な介入により、症状の改善が見られた。

おくさわ整骨院